第40章 不倫相手のくせに、いい気なものだな

翌朝。

中野航平は、長谷川栞が自分の子を身ごもっている――そう確信していた。胸の奥に何日も居座っていた靄が、すっと晴れていく。

「蓮。パパ、すぐにママを迎えに行くからな」

登校前。ちょうど航平が階段を下りてきたところで、思わず息子にそう漏らした。

「ほんと?」

「ほんとだよ」

航平は一瞬迷って、弟か妹ができるかもしれない話は、まだ口にしないでおいた。

「ママ、戻ってきたら……もう行っちゃわない?」

蓮は、あの夜のことを思い出す。寝る前には確かにママの読み聞かせを聞いていたのに、目が覚めたらいなくなっていて――こっそり泣いた。

「行かない。もう行かせない」

「やった! ぼく...

ログインして続きを読む